看護roo! 就活アカデミー - 【連載企画05】転換期を迎える急性期病院の存在感

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連載企画 05
更新日:2017年10月25日(水)
医療・病院のトレンドを知る
転換期を迎える
急性期病院

2割も減る可能性がある急性期の病床

今、急性期病院が大きな岐路に立たされています。

人口の多い1947~49年に生まれた、いわゆる団塊の世代の全員が2025年に75歳以上の後期高齢者になるのを受けて、国は病床機能を大きく変えようとしています。

病床機能とは、症状が重篤ですぐに処置が必要な「急性期」、長期にわたり療養を必要とする「慢性期」など、患者さんの状態に応じた医療を提供する制度のことです。

高齢者が増えれば当然病床も必要になりますが、それでは医療費が増えるばかりで財政が立ち行かなくなります。そこで国は「病院から在宅へ」という方針を掲げ、財源確保のために、2025年までに病床を今より15万床以上減らすことにしました。入院の必要性が少ない人は在宅で療養してもらう計画です。

そして、回復期の病床を3倍に増やして、できるだけ早く自宅に戻れる体制をつくる一方、今6割ある急性期病床を4割まで減らす方針を掲げているのです。急性期のほうが医療費がかかるため、それを削減することで財源をねん出しようというわけです。

急性期病院勤務は「できるナース」への近道

医療費がかかるとして国から削減される運命にある急性期病院。今後、勤務するのを避けたほうがよいのでしょうか。答えは「No」です。

急性期病院は、心筋梗塞、心不全、脳梗塞、くも膜下出血、事故による出血など、一刻を争う症状の患者さんがやってくるため、非常に高度な医療が提供されます。当然ながら、看護師に求められる知識の水準も非常に高く、ときに医師レベルの知識を求められることもあります。また、バイタルチェック、採血、点滴、注射、カテーテル管理などの頻度も高くなり、高度な手技が要求されます。

また、急性期病院では患者さんは1~2週間程度で退院していくため、手際よくこなしていかないと回していけません。そのことは、毎日違う症例に次々と接することでもあります。

つまり、急性期病院で働くということは、ハイレベルな医学知識を膨大に学び、なおかつ手技も手際よくできることを意味します。「できるナース」への近道といえるわけです。

急性期で働いた経験があることは看護師として強みになり、転職する際も「使えるナース」として認識され、病院選択の幅が大きく広がることになります。

劇的な症状改善で感じる医療従事者としてのやり甲斐

そして、急性期病院の患者さんの特徴は、治るのが「劇的」なことです。意識もなかった患者さんが、1週間後には病院内をふつうに歩いていることもあり、その姿を見ることは看護師にとって医療従事者としての喜びを味わえる瞬間でもあります。「病気を治して元気にする」という医療の基本であり醍醐味でもある部分をもっとも感じやすいのが急性期病院であり、その分、やり甲斐も強いといえるわけです。

決して色褪せない、急性期病院で働く意義

一方で、仕事が忙しくてプライベートの時間がとれない、子育てとの両立が難しい、1人の患者さんと向き合う期間が短いといった面もあります。しかし、子育てに関しては院内託児所を設けている病院も増えていますので、そうした病院に勤務することで問題を解決することも可能です。

現実的には急性期病院は独身であるほうが働きやすいこともあり、平均年齢が若いのが特徴です。知識を若いうちに吸収しておきたいと考える人、キャリアアップを図りたいという人が多く集まっており、意識も非常に高いといえます。

今後、急性期病院が減っていく可能性はありますが、そこで働く意義は少しも色褪せるものではないのです。

急性期病院の3つのメリット

  • ①高度な知識と技術が身につく
  • ②豊富な症例を診ることができる
  • ③回復が劇的なのでやり甲斐を感じる

⇒ 結果、「できるナース」 「使えるナース」になれる!