連載企画 04
更新日:2017年10月18日(水) 医療・病院のトレンドを知る
今、必要とされている
リハビリ看護の拡充
3倍もリハビリ病棟が増える!
今、「リハビリ看護」が注目されているのをご存じでしょうか。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年には、介護が必要となる高齢者が急激に増えることが予想されているため、国は今、大きな転換を図っています。その1つが、「病床機能の再編」です。
救急や手術が多い急性期か、長期にわたって療養が必要な慢性期かなど、国は医療機関に対して病床機能を4つに分けて報告することを義務付けました。それをもとに、都道府県ごとに病床機能を見直すことになりました。
そして「病院から在宅へ」の方針のもと、現在約6割を占める高度急性期と急性期の割合を4割強にまで減らし、その分、自宅に早く戻れるようにするために、リハビリなどをする回復期の病床を3倍に増やします。
当然、リハビリ病棟などで働く看護師も今まで以上に必要になることが予想されるため、今「リハビリ看護」が大きく注目されているのです。
在宅復帰することを目指すのがリハビリ看護
では、リハビリ看護とは具体的にどのようなことをするのでしょうか。
一般病棟と比べると、リハビリ病棟はその仕事内容が大きく異なっています。一般病棟は基本的に「治療すること」を目標にしているため、頻回なバイタルチェック、採血、点滴、注射、カテーテル管理などが行われます。
一方、リハビリ病棟は、手術や重篤な症状を乗り越えたものの、後遺症などで自宅での生活がすぐには難しい患者さんに対して、「在宅復帰すること」を目指すためにリハビリを行います。そのため、バイタルチェック、点滴、注射などは一般病棟ほど頻回には行いません。
また、リハビリそのものは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職種が担当します。その代わり、リハビリ看護で多くなるのが、食事介助、歯磨き誘導・介助、排せつ介助、入浴介助といった仕事です。一般病棟が症状をできるだけ早く治そうとするのに対し、比較的長い時間をかけて、少しずつ機能を回復させることを目指すのがリハビリ看護といえます。
リハビリ看護のメリットと特徴
一般病棟にはない大きなメリットの1つが、プライベートと仕事が両立しやすいことです。救急や急変といったことを乗り越えてきた患者さんなので、症状そのものは落ち着いているため、緊急対応で時間をとられることが少なく残業も少ないのが特徴です。プライベートの時間を大切にしたい、将来、家族との時間や子育てを楽しみたいと思っている人にとっては有益な職場といえます。
2つ目が多職種との連携が多いこと です。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、薬剤師など多くの職種の人たちと触れ合えるため、医療知識の幅が広がり、連携の技術やコツの習得、連携の楽しさも味わうことができます。
3つ目が、1人の患者さんとのつきあいが長いことです。一般病棟は点滴などの処置が多くなりますが、介助が多いリハビリ看護では患者さんと接する機会が長く、回復していく様子を自分の目で長期にわたり確かめることができます。
ただ、終末期になると思ったように回復せず、目の前の現実に戸惑うこともあるでしょう。在宅復帰だけでなく、「尊厳に満ちた最期の時間を提供する」といった視点をもつことも必要かもしれません。
向いているのはコミュニケーション力と忍耐力のある人
リハビリ看護は患者さんと長くつきあう分、一般病棟と比べてコミュニケーション能力が求められます。また、症状は劇的に改善するわけではないので、長い目で患者さんの状態をみることのできる忍耐強い人が向いているといえるでしょう。