尿検査は気軽にできるものですが、そのなかで重要な検査値の1つが「尿中微量アルブミン」です。
アルブミンは加熱によって固まるタンパク質で、肝臓でつくられます。血液中のタンパク質の60~70%を占めていますが、尿ではほとんど検出されません。ところが、腎臓の機能が弱まって老廃物のろ過機能かうまくいかなくなると、アルブミンが尿中に排泄されるため、尿中のアルブミン量を調べることで腎臓の状態を知ることができます。
ただ、ここで注意が必要なのは、明らかな腎疾患であれば尿中にはある程度のアルブミンが排泄されるため、尿タンパク検査を行うことによって「タンパク尿」の状態であることがわかります。しかし、糖尿病の合併症の1つである糖尿病性腎症の場合、ごくわずかしか尿中アルブミンが検出されないため見過ごされてしまいます。そのため、ごくわずかのアルブミンでも検出できる「尿中微量アルブミン」の検査をすることで、糖尿病性腎症を早期に発見することが可能になります。
基準値
尿中のアルブミン量は日内変動が大きいこと、さらに激しい運動をしたあとは数値が高めに出やすいことから、尿の採取はできるだけ落ち着いた状態で行いましょう。
基準値は下記のとおりです。
30mg/L未満
異常値時に考えられる疾患
高値時 |
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尿中のアルブミンが30mg/L未満であれば基本的には問題ありません。30~299mg/Lの微量値の場合は腎臓になんらかの障害を抱えていることが多く、なかでも強く疑われるのが糖尿病性腎症です。
糖尿病性腎症は、食生活や運動など生活習慣を改めることで改善する可能性があるため、医師の指導にしたがって適切に治療すれば、元の生活に戻ることもともできます。
ちなみに、300mg/L以上の場合はいわゆる「タンパク尿」の状態で、なんらかの腎疾患を抱えている可能性が高いといえます。
ケアはこうする
早期の糖尿病性腎症は症状らしい症状がほとんど出ませんが、病状が進むとむくみや高血圧などの症状が見られることがあるため、それらがないかをチェックします。
また、糖尿病性腎症は血糖値を下げるためにタンパク質と塩分の摂りすぎに注意します。カリウム摂取は腎臓が正常であれば問題ありませんが、腎症になると血液中にたまりやすくなって不整脈の原因になることから、摂取制限が必要になります。
運動は激しくする必要はなく、医師の指示にしたがって適切に行うように指導しましょう。