いまさら聞けない「あの用語」

いまさら聞けないあの用語

医療、看護の世界には必須の用語がたくさんあります。
ここでは、これから看護師を目指す皆さんが学ぶ用語、知っておいてほしい言葉などを解説します。
用語は知っているけれど、他人(ひと)に説明するまででは・・・?
という方もいまさら聞けない「あの用語」をおさらいしておきましょう。

WORD 06 罨法(あんぽう)

罨法とは

漢方医学の治療法の一つで、身体の一部を温めたり冷やしたりして病状の好転を図る治療方法のことです。「罨」という字には「おおう」「かぶせる」という意味があり、布などを使って局所をおおったりすることからこの表現が使われています。温める場合は「温罨法」といい、冷やす場合は「冷罨法」といいます。

通常は医師の指示によって行われますが、医師の指示を仰がずに看護師の判断によって実施することもできるため、看護師としてあらかじめ知識を習得しておく必要があります。

罨法

罨法を行うと、血管が拡張されるため血液やリンパ液の循環がよくなり、細胞の新陳代謝も期待できます。そのため、痛みを和らげたり、腸の蠕動運動が改善されて排便を促したりします。さらに、入眠促進、リラクゼーションのほか、体温が下がっている場合には保温の効果も期待できます。ちなみに、温罨法を行っても動脈を温めるといったことをしなければ、体温が大きく上昇してしまうことはありません。

罨法は大きく「湿性温罨法」と「乾性温罨法」の2種類に分かれ、湿性温罨法はタオルや布にお湯を浸して患部を温めるものから、温湿布、温パップなどを使うこともあります。乾性温罨法は、湯たんぽ、カイロ、電気毛布、電気あんかなどを使って温めます。

注意点としては、出血傾向、知覚の麻痺、消化管穿孔などがあるときや、身体が衰弱しているときは控えたほうがよいでしょう。

罨法

 

罨法を行うと、血管が収縮し、血液とリンパ液の循環が抑えられます。それによって組織の代謝も減少し細胞の活動も抑制されるので、細菌の増殖を少なくすることができます。そのため、炎症が抑えられることが期待でき、さらに発熱のときの解熱の目的でも用いられます。主に使われるのは、氷のう、氷枕、冷湿布、冷やしタオルなどです。

乳幼児は体表面の面積が少ないので、冷やす面積が広いとショックを受けることがあるので、面積や時間には細心の注意を払いましょう。また、神経痛の場合は悪化することもあるので、控えたほうがよいでしょう。

罨法と冷罨法の共通の注意点

罨法でも冷罨法でも気をつけなければいけないことがあります。罨法は身体に温度刺激を加えることになるので、低温ショックや熱傷を与える可能性があるということです。患者さんの意識がはっきしていて意思表示ができる状態であれば問題ありませんが、意識障害がある場合は観察が必要です。また意識があったとしても、知覚鈍麻や浮腫がある場合は温度を感知する力が衰えているため、同じく注意が必要です。

小児や高齢者など訴える力が弱い患者、栄養状態がよくない場合も頻回な観察が欠かせません。

罨法と冷罨法

温罨法冷罨法
効果疼痛緩和、排便・排尿促進、入眠促進、リラクゼーション、保温 など炎症抑制、鎮静・鎮痛、解熱 など
用いるものタオル、布、温湿布、温パップ、カイロ、電気毛布、電気あんか など氷のう、氷枕、冷湿布、冷やしタオル など
注意点出血傾向、知覚の麻痺、消化管穿孔、身体が衰弱 など小児への低温ショック、神経痛 など

更新日:2017年12月4日(月)