Point 1〈筆記試験の心得〉試験の種類に応じた対策を
すべての病院で筆記試験を実施しているわけではありませんが、最近は取り入れているところも増えているようです。筆記試験には、小論文・作文、一般常識、専門試験などいくつか種類があり、出題の意図はそれぞれです。筆記試験では、最後の関門となる国家試験に準じた問題が出題されることもあるので、国家試験対策の一環として早めに取り組んでおくと安心です。まずは、筆記試験の種類と出題の意図を理解することから始めましょう。
筆記試験の心得
筆記試験にはいくつか種類がありますが、どの試験も看護師としての適性を判断するためのものです。それぞれの筆記試験を通して病院側が何をチェックするのか、試験の意図をよく理解して対策を立てることが大切です。
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- ■小論文・作文
◎実施率が高く、選考試験の採点配分も高い - 出題されたテーマについて制限時間内に所定の条件に合わせて書きます。出題意図を正しく理解し、自分の考えをきちんと表現できるかが判断されます。ただ、自分の気持ちを書くのではなく、相手を理論的に納得させることが重要です。それには繰り返す書く練習が必要。「Point2 〈小論文・作文対策〉コツをマスターして、文章力をつけよう」をチェックして、本番までに論理的な文章力を身につけましょう。
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- 誤字脱字はないか
- 文章を論理的に正しく書けているか
- 日本語を正しく使えているか
- 自分の意見や価値観を表現できているか
- ■小論文・作文
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- ■一般常識
◎基礎学力や社会人としての常識を問う - 国語、数学、英語などの基礎科目の他に、社会人の常識として知っておかなくてはならない一般常識が出題されます。市販されている学力問題集や常識問題集を利用して、試験に備えておきましょう。また、社会の出来事について問われることもあるので、新聞やニュースをチェックして社会の動きに敏感になっておくことも大切です。面接試験でも聞かれることがあるので日頃から意識しておきましょう。
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- 基礎的な学力が身についているか
- 社会的な常識が備わっているか
- ■一般常識
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- ■専門試験
◎国家試験に合格できる知識が身についているかを判断 - 国家試験レベルの問題が出題されます。この試験は、内定後に実施される国家試験に合格できる実力があるかどうかを判断するために行われるようです。早めに国家試験対策に取り組むことが望ましいですが、授業をきちんと受けていれば問題ありません。
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- 国家試験に合格できる実力があるか
- ■専門試験
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- ■適性検査
◎看護師になる能力、性格の適正を検査 - クレペリン、YG性格検査などの「能力適性検査」「性格適性検査」があり、一般にマークシート形式で行われます。看護師は人とかかわる仕事なので、人を理解する能力が求められることから、性格的に極端な偏りがないかどうかを判断するものです。特に対策は必要ありませんが、受験する病院の試験項目に含まれているかを確認しておくといいでしょう。
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- 人と接するのが苦手ではないか
- 性格的に極端な偏りがないか
- ■適性検査
Point 2〈小論文・作文対策〉コツをマスターして、文章力をつけよう
筆記試験のなかでも、実施率が高いのが小論文・作文です。しかし、苦手という人が多いのもこの科目。文章力は一夜漬けでは身につかないだけに、早いうちから対策を立てておきたいものです。文章力をつけるには、なんといっても何度も繰り返し、書く練習をすること。また、どんなテーマにも対応できるように、ニュースや時事など幅広い興味を持つことも大切です。社会の動きを把握し、日頃から自分なりの考えを持つようにしておくことは、相手を納得させる小論文・作文を書くために必要不可欠だからです。これらを踏まえたうえで、書き方やコツをマスターし、苦手意識を克服しましょう。
書くときの注意点
読みやすい字で丁寧に書くことはもちろん、次の点に注意しながら書き進めましょう。
- 設問を熟読し、何を求められているかを読み取る
- 出題者から何を求められているのか、テーマからずれないようにしなくてはいけません。書き始める前に設問をしっかり読んで理解し、書くべき要点を拾い出して書き留めておき、記載もれがないように、書き出した項目をチェックしながら書くといいでしょう。
- 自分の体験など具体的な内容を盛り込む
- 病院側は新しい看護論を求めているわけではありませんが、一般論だけではなく、そこに自分の実体験や自分なりの意見も盛り込み、さらにその根拠も忘れないように書きます。ただし、自分の考えに固執しすぎないようにし、客観的な視点を持って書くように心がけましょう。
- 誤字脱字、話し言葉に注意
- 誤字や脱字、話し言葉、流行語、略語は大きな減点になるので注意が必要です。書き終わったら必ず読み返すようにしましょう。誤字脱字を防ぐには、書く練習をする際にこまめに辞書を引き、新聞をよく読むようにすることが大切です。
- 文体を統一し、自分のことは「私」と書く
- 「だ・である」調と「です、ます」調を混ぜないようにし、文体を統一します。女性も男性も、自分のことは「私」と書きます。
- 一文が長すぎないようにする
- だらだらとした長い文章は読みづらいものです。一文は40~60文字に収め、内容が変わったら段落を変えるようにします。
出題テーマと文字数
これまで小論文・作文でもっとも多いのが、看護学校や病院での経験を踏まえた看護や看護師像について、次に医療全般について、他には「高齢者看護」「最近の社会情勢の中で関心のあることについて」など社会への関心をテーマにしたものも出題されています。文字数は800字が一般的で、400字、600字、1000字、なかには文字制限なしというところもあるようです。
過去の出題テーマ
- 「志望理由と入職後の目標について」
- 「当院にどのように貢献できるか」
- 「めざす看護師像について」
- 「看護師としてどうありたいか」
- 「実習で印象に残ったこと」
- 「学生時代に得たものについて」
- 「インフォームドコンセントと看護師の役割」
- 「携帯電話とモラルについて」
- 「あなたの家族に医療事故が起きたとき」
- 「看護師として個人情報についてどのようなことに配慮し、どのように取り扱うべきか」 など
書き方のコツ
小論文と作文は違うことを心得ておこう
意外と知らないのが、小論文と作文は違うということ。書くときの注意点は同じですが、体験から学んだことや感じたことを自由に書くのが作文。こちらは、人柄を感じさせる表現力が求められるのに対し、小論文は与えられたテーマに対して、自分の考えとその理由を論理的に説明する説得力のある文章が求められます。小論文と作文では書き方も異なるので、それぞれの書き方のコツを身につけておきましょう。
作文の書き方
与えられたテーマに対して、あれこれ内容を盛り込み過ぎるととりとめのない文章になってしまいます。書きたいことを1点にしぼって、自分の考えを明確にし、なぜそう考えるのか理由を書くようにするといいでしょう。そして、さらに次のことを意識して書くようにしましょう。
- ●「起承転結」で構成
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- 「起」:テーマについての出だしの文章。テーマについてどう考えているか問題の提起。
- 「承」:身近なことや印象に残ったことなどを書き、導入の「起」のテーマをさらに展開。
- 「転」:話を一転させ、本題に入る。「承」で書いた考えに対しての疑問や反論、あるいは「承」の部分の考えを深く掘り下げて書く。
- 「結」:文章のしめくくり。結論を書く。
- ●5W1Hで構成
- Who(だれが)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)、How(どのように)したのか。この5W1Hで書かれた代表的な文章が新聞記事。これらの要素をきちんと入れて書くとわかりやすい文章になります。
小論文の書き方
小論文を書く際に何よりもお手本となるのが新聞です。新聞では、日々のさまざまなテーマについて、多くの人たちが論文形式で意見を掲載しています。できるだけ記事をたくさん読み、どのように論理を展開させているのか参考にしましょう。もちろん、小論文でも5W1Hを心得て書くことが大切ですが、小論文には型があり、与えられたテーマを論理的かつ簡潔に展開し、結論へつなげます。
- ●「序論」「本論」「結論」で構成
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- 「序論」:論文全体の紹介。まず、「どんな問題意識をもっているか」という問題を提起し、次にその問題に対して、イエスかノーかの立場を示したうえで、「何を考え、主張しているのか」という自分の意見を明確に表示する。
- 「本論」:小論文の中心部分。なぜそう考えるのかといった事柄の背景、原因、証拠などをもとに自分の主張を展開する。
- 「結論」:論文のしめくくり。「~であるからこう考える」というように、読み手が納得できるよう、結論をはっきりと述べ、あいまいな表現は避ける。
看護roo! 就活では、皆さんが看護師として就職活動の準備にがスムーズに進められるようよう準備段階に合わせて案内しています。このページでは、筆記試験対策について説明しています。わかっているようで意外な落とし穴があるのが就職活動です。採用する側も人間です、印象やイメージは判断基準においてとても重要なものの一つになります。皆さんが希望の看護師となれるよう一歩一歩を大事にしていきましょう。是非、筆記試験対策についても確認してみて下さいね。