【病院のことをしろう】看護師の就職活動(就活)

【病院情報の収集】|看護師の就職活動(就活)

How to 就職活動

Step 2病院のことを知ろう

Point 1〈病院解説〉病院の種類や状況を理解しよう

目指す看護師の方向性が決まったら、病院の絞込みを始めましょう。ひとくちに病院といっても、機能や役割、専門分野などによって内容はさまざまです。自分の希望に合った病院を選ぶには、主な種類や分類などを知っておく必要があります。どんな病院があり、採用状況はどうなっているのか、病院の基本的な情報を整理し、理解しておきましょう。

主な病院の種類と特徴

主に次のように分けられます。

  • 国立病院
    厚生労働省や文部科学省など「国」が開設した病院。国立療養所や労災病院も含まれたが、2004年に独立行政法人国立病院機構が設立。国立病院と国立療養所のほとんどは国立病院機構の主管下に移行した。同様に労災病院は独立行政法人労働者健康安全機構に移行。国立ハンセン病療養所は現在も厚生労働省直属の機関。地域の医療モデルとして高度専門医療を行うなどの役割を担うほか、多種多様の診療科目、幅広い機能を持つ比較的大規模な病院が多い。国立病院機構に属する病院等の医師、看護師、職員は公務員ではないが、基本的に国家公務員に準ずる待遇や規程がある。
  • 大学病院
    国立や私立の大学付属病院など、文部科学省の大学設置基準という省令に基づいて開設された大学の付属病院。「臨床(診療)」「教育」「研究」の3つの役割を担っており、診療内容や対象とする患者に関して、ともに幅広い機能を持つ。大学病院本院の多くは、医療機関の中核となる特定機能病院になっていることが多い。また、他の病院や診療所の紹介が必要であるなど、受診するには一定の条件を満たすことが求められる。
  • 公的病院
    国や自治体のほか、営利を目的としない公的団体を運営母体とする病院。国立病院・公立病院(県立・市立・町立など)などのほか、労災病院、日赤病院、済生会病院、厚生連病院などが含まれる。公費の補助を受け、地域に根差した医療を行う。一般的な医療から高度医療まで幅広く手掛けている病院が多い。厚労省の調べによると全国の病院のうち約20%が公的病院であり、残りの80%は個人や医療法人が運営する民間病院である。
  • 医療法人など
    医療法人とは医療法の規定に基づき都道府県知事の許可を受けて設立される法人で、個人の経営ではない一般の民間病院のほとんどは医療法人である。社会医療法人、特定医療法人などの区分がある。医療法人のほかにも、学校法人が運営する私立大学の付属病院や、財団法人や宗教法人の運営する病院、JR病院のように企業が従業員とその家族のために運営する病院など、さまざま法人が病院の運営母体となっている。
  • 個人病院
    多くの診療所と同じように、医師が医療法人を作らずに個人で経営している病院をいう。比較的小規模の病院が多く、看護師にとってはアットホームな雰囲気で働きやすいというメリットがある。

病院の機能的分類

さらに病院は医療法により、機能別に区分されています。大まかな分類は次の通りです。

  • 特定機能病院
    高度の医療を提供し、高度な医療技術の開発や評価、高度医療に関する研修等が可能な病院。他の医療機関から紹介された高度な医療を必要とする患者さんを中心に受け入れ、診療することが基本。一般の病院の設備に加えて集中治療室、無菌病室、医薬品情報管理室を備え、10以上の診療科、400以上の病床数を持つ。
  • 地域医療支援病院
    地域の病院や診療所から紹介された患者さんを中心に医療を提供し、医療機器の共同利用などを行い、地域の「かかりつけ医」を支援する。初診患者数に占める紹介率が80%、200以上の病床数を持ち、研修体制が整備されていることなどを要件とし、都道府県知事によって承認される。
  • 一般病院
    一般病院は、通院や入院により一般的な治療が可能な患者を対象とする病床数20床以上の病院です。病床の種類や職員の人員配置、設備などに一定の基準があります。
    病床の種類は、精神病床・感染症病床・結核病床・療養病床・一般病床の5つに分けられます。たとえば、一般病床と精神病床を併設している場合、精神病床が80%に達していなければ通常は一般病院に分類されます。人員配置では看護職員は入院患者3人に対し1人という基準が設けられています。病床の構造設備では、経過措置として患者1人当たりの床面積が4.3㎡以上などの基準が設けられています。

病棟の分類

病院の病棟は、その機能により区分されています。主な分類は以下の通りです。

  • 回復期リハビリテーション病棟
    脳血管疾患、大腿骨頸部骨折等の患者に対してADL(日常生活活動)能力の向上を目指して、医師、看護師、理学療法士、作業療法士などがリハビリテーションプログラムを共同で作成し、これに基づくリハビリテーションを集中的に行うための病棟であり、回復期リハビリテーションの必要性が高い患者が80%以上入院している病棟のこと。
  • 緩和ケア病棟
    その家族の身体的、精神的、社会的苦痛の緩和を目指した病棟。その方が最期までその方らしく快適に生活できるよう、QOL向上のために、さまざまな専門家を中心に構成されるチームによってケアが行われる。
採用状況を知ろう

厚生労働省がまとめた2011年から2015年までの「看護職員需給見通し」によると、今後さらに看護師の需要は増えることが予想されます。その一方で、医療業界では質の高い人材が求められ、目的意識の低い人に対して厳しい対応をする傾向にあります。その背景には、少子化、高齢化が進み、ますます医療の担う役割が増えて、より充実した医療が求められていることがあります。最近は専門性の高い看護師の養成に力を入れるなど、質の高い人材の確保に力を注いでいる病院が増えているだけに、採用の動向に注意しながら、どのような看護師が求められているのか認識しておく必要がありそうです。

第七次看護職員需給見通し(単位:人)
区分 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
需要見通し 1,404,300 1,430,900 1,454,800 1,477,700 1,500,900
 (1)病院 899,800 919,500 936,600 951,500 965,700
 (2)診療所 232,000 234,500 237,000 239,400 242,200
 (3)助産所 2,300 2,300 2,400 2,400 2,400
 (4)訪問看護ステーション 28,400 29,700 30,900 32,000 33,200
 (5)介護保険関係 153,300 155,100 157,300 160,900 164,700
 (6)社会福祉施設、在宅サービス
    ((5)を除く)
19,700 20,400 20,900 21,500 22,100
 (7)看護師等学校養成所 17,600 17,700 17,700 17,800 17,900
 (8)保健所・市町村 37,500 37,600 37,800 38,000 38,200
 (9)事業所、研究機関等 13,800 14,000 14,100 14,300 14,500
供給見通し 1,348,300 1,379,400 1,412,400 1,448,300 1,486,000
 (1)年当初就業者数 1,320,500 1,348,300 1,379,400 1,412,400 1,448,300
 (2)新卒就業者数 49,400 50,500 51,300 52,400 52,700
 (3)再就業者数 123,000 126,400 129,600 133,400 137,100
 (4)退職等による減少数 144,600 145,900 147,900 149,900 152,100
需要見通しと供給見通しの差 56,000 51,500 42,400 29,500 14,900
(供給見通し/需要見通し) 96.0% 96.4% 97.1% 98.0% 99.0%

注:四捨五入のため、各項目の合計等は一致しない。(厚生労働省ホームページより)

Point 2〈情報収集〉いろいろな方法で病院情報を集めよう

就職活動の早い段階から、できるだけ多くの情報を集めることこそが、自分に合った病院を見つける大切なポイント。いろいろな方法でたくさんの病院の情報を集めて、じっくりと比較検討しましょう。ちょっとでも気になるなら、どんどん資料請求することが情報収集の鉄則です。看護部以外にも、病院の沿革や理念、方針、患者さんへの情報などもチェックして、その病院の特徴、看護や患者さんに対する姿勢も読み取りましょう。

情報収集のポイント
1. 早いうちから情報を集める。
情報をたくさん集めるには、情報収集を早く始めるのがベスト。そうすることで、病院研究を十分に行うことができ、自分に合った病院を見つけやすくなります。情報収集は就活が忙しくなるにつれ、おろそかになりがちなので、早めにスタートさせましょう。
2. 気になる病院はすべてリストアップし、まず資料請求を。
少しでも気になる病院は、残らずリストアップして資料を請求しておくと、自分に合った病院を見つけやすいだけでなく、じっくりと比較検討できます。また、必要な資料を持っていれば、後に志望が変わった場合も慌てることがありません。
3. 得た情報は整理しておく。
集めた情報は、病院ごとに就職活動ノートに整理しておきましょう。病院を比較検討したいときにすぐにチェックできるうえ、病院を選ぶ目も養われます。また、疑問点はまとめておき、学校の先生に聞いたり、病院見学のときなどに質問できるように準備しておくことも大切です。
いろんな手段で情報収集を

病院の情報は、いろんな角度から集めるのが賢い方法です。最新情報は雑誌やインターネットで、病院の雰囲気といった生の情報は先輩に聞くなど、それぞれの方法を活かして、より多くの情報を手に入れ、自分に合っているかどうかの判断材料にしましょう。

  • 看護雑誌
    多くの病院情報を一度に入手できる。病院概要や待遇など、就職活動に必要な病院データがわかりやすくまとめられているので、病院の比較検討がしやすい。
  • インターネット
    リアルな情報をいち早くキャッチできる便利なツール。ホームページを持つ病院が多く、病院概要の他、採用情報を公開しているところも増えているので、こまめにチェックして気になる情報は就職活動ノートにメモしたり、プリントアウトしてファイルしておくこと。「看護roo! 就活<新卒サーチ>」では、就職に直接役立つ最新情報や病院データをいち早くゲットでき、全国の病院情報も検索できるのでどんどん活用しよう。
  • 新聞・一般求人誌
    「看護・介護系特集」などが組まれ、最新の就職情報が随時掲載されるので採用状況を把握しやすい。待遇や応募方法など求人情報がメインなので、判断データとして活用しやすい。
  • 学校の先生・求人票
    学校はなんといっても就職活動の心強い味方。就職指導会等はどんどん活用を。ただし、相談するときは、自分の要望や看護観をしっかりまとめておこう。就職状況や先輩たちの活動データなど他の手段では手に入らない情報や的確なアドバイスをもらえる。
  • 先輩、友人
    生の情報を手に入れるには、現場で働く先輩に話を聞くのが一番。雑誌やインターネットなどではわからない、病院の雰囲気や先輩たちの本音を知ることができる。多くの生の情報を入手するには、友人と協力して情報交換することも欠かせない。
病院データをしっかりチェック

やりがいはもちろんですが、満足して働くには、待遇面などの病院データもチェックしておきたいもの。
就職情報誌などでよく出てくる用語を理解しておきましょう。

  • 基本給
    属人給、仕事給などからなる。属人給とは、年齢、学歴、勤続年数など本人の属性を基準に決められ、仕事給は、職務内容やスキルといった職務遂行能力など仕事的要素から決められている。
  • 諸手当
    基本給にプラスされる手当で、時間外勤務手当、夜間看護手当、特別の技能および資格、役まわりに対する技能手当、役職手当、資格手当の他、生活を補助する通勤手当、家族手当、住宅手当などがある。
  • 賞与
    一般的に「ボーナス」のことを指す。業務成績や勤続成績などに基づいて、定期または臨時支給されるもので、個人の能力や業績などによって支給額は異なる。
  • 有給休暇
    正式には「年次有給休暇」と呼び、通常の休日以外に、労働者の疲労回復、健康の維持と増進を図る目的で利用される制度。有給休暇の利用や目的は労働者の自由で、休暇日数は勤務年数によって異なるが、半年間継続勤務し、全労働日数の8割以上出勤した者に対して、最低10日間与えられる。有給休暇取得権利は2年間で消滅するが、付与された年度の未消化分は翌年度に繰り越すことができる。
  • 社会保険
    「健康保険」と「厚生年金保険」からなり、労働者が安心して働けるように制度化された公的な保険。健康保険は、病気やケガをした場合に受けられる医療給付で、それによって仕事を休んだ場合も所定の手当金が支払われる。厚生年金保険は、高齢や障害の状態になって働けない時などに年金や一時金が支払われるもので、老後の生活にとって重要な公的年金制度。
  • 労働保険
    「労働者災害補償保険」と「雇用保険」をまとめた総称。労働者災害補償保険は、労働者が業務上あるいは通勤途中の災害により負傷・疾病・死亡したり障害が残ったりした場合に、治療費や休業補償、遺族補償などを給付するもので、会社がその保険料を全額負担する。雇用保険は、会社の倒産や転職などで失業した場合に所定の失業給付金が支払われる制度。

Point 3〈資料請求〉病院へ資料請求を開始!

情報を収集し、十分に病院を比較検討したら、実際に気になる病院へ資料を請求してみましょう。ハガキやインターネットなど、請求方法はいくつもありますが、それぞれに守るべきルールがあります。資料請求は病院とのファーストコンタクト。この時点から自己アピールは始まります。失礼な印象を与えないよう、一つひとつ丁寧に行いましょう。

資料請求の方法

この時点ではまだ病院を絞り込まないことが大切です。少しでも気になる病院の情報はすべて手に入れる気持ちで、どんどん資料を請求しましょう。資料請求の方法は大きく、ハガキ、インターネット、電話の3つ。それぞれのルールを守り、病院の担当者と気持ち良くやりとりできるように心がけましょう。

電話で資料請求

病院に直接電話をしましょう

  • 静かなところからかける。
  • 用件はあらかじめまとめておく。
  • その病院の基本的な資料とメモ用紙を手元に置いておく。
  • 相手が聞き取りやすい声量と言葉で話す。
  • はじめに自分から名乗る。
  • 要件を切り出す前に、「お忙しいところ失礼します。
     今大丈夫でしょうか」など、相手の都合を確認する。
  • 重要なことはメモし、復唱して確認する。
インターネットで資料請求

資料請求が簡単にできる「看護roo! 就活」を活用しよう

スマホやパソコンから病院情報が探せる「看護roo! 就活」を利用すれば、資料請求が簡単にできるのでとても便利です。気になる病院を「お気に入り」に保存しておけば、一度にたくさん資料請求ができるうえ、請求忘れを防ぐこともできます。

資料請求画面

インターネットでの資料請求ポイント

病院によっては、病院のホームページから直接資料を請求することができます。必要事項を入力するだけで簡単に請求できるのでどんどん活用しましょう。送信ボタンを押す前には必ず内容をチェックするように心がけ、記入した画面はプリントアウトして保存しておいて、後で見直せるようにしておきましょう。

  • 入力方法を確認して記入を。半角で記入と書かれていない場合は全角で入力し、注意書きがある場合はそれに従います。
  • Eメールアドレスは間違えやすいので注意しましょう。
  • 住所の番地やマンション名などに間違いがないか確認を。
  • 病院への意見や疑問、質問があれば、空欄のままにせずに記入しましょう。
  • 送信する前に、必ず読み返して間違いがないか確かめましょう。
  • 記入した画面は、プリントアウトするなどして必ず保存しておきましょう。

看護roo! 就活では、皆さんが看護師として就職活動の準備にがスムーズに進められるようよう準備段階に合わせて案内しています。このページでは、病院情報の収集について説明しています。わかっているようで意外な落とし穴があるのが就職活動です。採用する側も人間です、印象やイメージは判断基準においてとても重要なものの一つになります。皆さんが希望の看護師となれるよう一歩一歩を大事にしていきましょう。是非、病院情報の収集についても確認してみて下さいね。