γ(ガンマ)-GTPは酵素で、腎臓、膵臓、肝臓の順番で多く含まれ、脾臓や小腸にも分布しています。
腎臓に多く含まれていることから、腎臓のはたらきを調べるために測定されそうですが、実は肝臓の状態を調べるために測定されます。というのも、γ-GTPは肝臓の解毒作用に関係している酵素で、肝臓や胆道系になんらかの障害があると血液中に流れ出てくるからです(ちなみに、こうした酵素は「逸脱酵素」と呼ばれます)。
とくに、アルコールの摂りすぎで肝臓がダメージを受けるアルコール性肝障害で高い値を示すことから、飲酒が多くアルコール性肝障害の疑いがある場合に実施される検査です。
基準値
γ-GTPは運動や食事の影響はほとんど受けないので数値は比較的安定していますが、男女によって差があることに留意する必要があります。また、2週間禁酒をすると値が半減するといわれています。検査のために禁酒して数値を下げても、飲酒を開始すれば当然値が上がるため、飲酒をしているふだんの生活における推定値から対応策を考えなければなりません。
基準値は下記のとおりです。
男性 | 10~50IU/L以下 |
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女性 | 9~32IU/L以下 |
異常値時に考えられる疾患
高値時に考えられる疾患
高値 |
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γ-GTP値が100未満であればさほど心配しなくても大丈夫ですが、100を超えている場合は「飲みすぎ」といえる状態です。飲酒をしていないにもかかわらず100を超えている場合は肝臓・胆道系の障害の可能性もあるので、再検査が必要になります。500以上になると慢性的な飲酒というよりも急性アルコール性肝炎の可能性が高く、すぐに治療しなければなりません。
また、抗てんかん薬、抗凝固薬、向精神薬、ステロイド薬などの薬物でもγ-GTPの値は上がるため、そうした薬物の摂取がないかを確認する必要があります。
ケアはこうする
γ-GTPはアルコールとの相関関係が非常に強いため、アルコール摂取を制限することがとても重要になります。しかし、タバコをやめるのが大変なように飲酒をやめるのも簡単なことではないため、患者さんへの励ましが大切になります。
また、アルコールをやめたあとに生じる発汗、振戦、頻脈、不眠、焦燥感などが生じていないかを確認し、肝障害による黄疸が現れていないかも観察します。
肝臓の回復には質のいい食事が欠かせないため、豚肉の赤身や鶏ささみ肉などの良質なタンパク質、ビタミン類豊富な緑黄色野菜などを摂るように指導しましょう。