以前は、肺炎球菌による肺炎の際に出るタンパク質と考えられていましたが、検知感度が上がった今は、正常時でも血液中にごくわずかに存在することがわかっており、組織が破壊されたり炎症を起こしたりすると、12時間以内に急激に増加し、病気が快復すると急速に正常値に戻ることが知られています。このように短時間で反応するタンパク質を「急性相反応物質」と呼びます。
さまざまな疾患で血中量の上昇が認められるため疾患を特定することはできませんが、数値が高くなればなるほど炎症が強いか、細胞が破壊されていることを示しているため、重症度や経過を知るためには欠かせません。特に新生児では白血球数が炎症の指標として不向きなことから、CRP値は非常に有用な指標となります。また、CRP値が極端に低い濃度の場合、冠動脈疾患のリスクが上がることもわかってきています。
炎症があっても1、2時間でCRP値が上がるわけではないので、値が低いからといって必ずしも炎症がないとはいえない点に注意しましょう。
基準値
基準値は下記のとおりです。
0.30mg/dL未満
異常値時に考えられる疾患
高値時に考えられる疾患
- 細菌感染症
- ウイルス感染症
- リウマチ熱
- 悪性腫瘍、悪性リンパ腫
- 心筋梗塞
- 熱傷、外傷
- 手術後
数値が上がっているときはなんらかの感染症にかかっていることが多く、細菌やウイルスによる感染症などが疑われます。細胞が破壊されることによって増えるものとしては、悪性腫瘍、熱傷、外傷、手術後などがあります。
鑑別で重要なものとしては狭心症と心筋梗塞があります。狭心症は組織が破壊されないためCRP値は変化しませんが、心筋梗塞は組織の壊死があるためCRPの上昇が見られます。
先に触れたように、CRP値は炎症が強ければ強いほど値も高くなることから、数値から疾患の見当をつけることができます。
0.4~0.9mg/dLは軽度で、アトピー性皮膚炎や軽い風邪などでも出る値です。1.0~2.0mg/dLは高熱、ウイルス感染症、ひどい火傷などで出る値です。2.0~15.0 mg/dLは中程度で、透析や糖尿病、細菌感染、重度の外傷などが考えられます。15.0~20.0 mg/dLは重度で、関節リウマチ、肺炎、悪性リンパ腫などが考えられます。敗血症などの重症感染症の場合も極めて高い値になることが多く、注意が必要です。
ケアはこうする
炎症が強く痛みがある場合には、楽な姿勢にして冷罨法を試みたり、鎮痛解熱薬を投与するなどして痛みの軽減を図ります。
高熱を出していることもあるので、室温を調整し、衣類も適切かどうか確認しましょう。汗が多い場合には清拭を行い、タオルを敷くなどします。汗の量によっては寝衣を交換します。